漢字 en France(その2) [フランスの思い出]
僕がいたルーアンは観光客も多数訪れる街なのですが、その象徴とも言える建物がモネの連作でも有名なカテドラルです。本当に美しい建物で、僕はその前を通るのが大好きでした。
そんなある日、その近くにある小さな店で「Futon」なるものが売られているのを見つけました。とは言っても日本の布団とは違い、なんか「脚のないベッド」といったものです。でもそんなことは『フランス人向けにアレンジされたものだ』ということで納得できたのですが、僕が気になったのは掛け布団のようなものに「五」という漢字がプリントされていたことです。
↑上から見るとこんなデザインです。
(なにゆえ「五」の文字が???「龍」とか「天」とか「夢」とかならまだしも…)と思って、店の中に入ってみると、さっそく店の人が、「君、日本人?」とたずねてきました。
「そうです」と答えると
「どう、これ?日本のフトンだよ」とうれしそうに話しかけてきます。
「ええ、そうですね」とつい返事をしてしまう僕。ここで彼に「いや、これは本当の布団というものではありません」とケチをつける勇気はありませんでした。
すると店の人は、
「この字の意味はわかる?」と例の文字を指さしながら聞いてきたので正直に
「5」と答えると、それまでにこやかだった彼の表情が
『えっ、何それ?』という顔に変わりました。
怪訝な顔つきで「5」という数字は日本で何か特別な数字なのかと彼が言うのに対して、
「いや、別に」と答えると
じゃあなぜここに『五』と書いてあるのかと彼。
「さっぱりわかりません」と僕。
ほんの短い間でしたが重たい時間が流れました。
そして「わかったよ、ありがとう」と彼は言い、僕も何か気まずくなって店を出ました。店の外からショーウインドウ越しに見る彼の背中が力なく感じたのは気のせいでしょうか。
きっと彼はスピリチュアルな何かを意味する文字が書かれていると思っていたのでしょうね。日本に興味があるフランス人って結構そんなのが好きな人が多いですし。(最近はアニメが好きで日本に興味を持つ人も多いと聞きますが…)
フランスにいたとき、このような「よくわからない日本的なもの」をいくつか見たような気がします。でも日本にいるフランス人も「よくわからないフランス的なもの」を見ることがきっとあるんでしょうね。
五は実はとてもスピリチュアルなのですよ。
五重塔の象徴である、5th エレメンツ。
五感の五、
この布団に意図された五の存在があるかどうかは謎ですが、よく似た経験で五について、その様に語った覚えがあります。
(かなりごり押しのような気がしないでもありませんけど・・・)
数字好きのフランス人は、深読み的な事も含めて、こういう質問好きですよね。
by cuvee-juliez (2006-03-22 01:25)
clos-du meix様
なるほど!そう言えば良かったのか…
この際、たとえごり押しであったとしてもそう答えていれば、店のおじさんも胸を張って「Futon」を売ることができたのに、う〜ん、残念!
たしかにおっしゃる通り、フランス人ってこちらがとりわけ考えたこともないようなところにこだわって質問してくるときがありますよね。ですから僕もフランス語を勉強する中で、ひと通り生活に不自由がないくらいの語学力がついてからも、何かにつけて議論したがる彼らとそれなりに渡り合って話せるだけの語学力までが遠いなあと思った記憶があります。
今回もコメントありがとうございました。
by foret (2006-03-22 01:52)
こんにちは^^
う~ん、留学した時そんな質問されたらどうしよう~
笑えないかも・・・・><
フランス人は数字が好きなんですか?
(↑clos-du meix様のコメントを拝見して・・・)
あの独特な数字の数え方からして、一癖ありそうですね。
困った、全く興味がない・・・
議論も全然自信ないなぁ・・・
foretさんは、最終的に少しは議論の輪に入れるようになりましたか??
by (2006-03-26 18:54)
そういえば、数字にまつわる質問よくされますね。
日本に関する数字なら、人口、富士山の高さ、高速の制限速度、保険料、国土の面積とか、身近な事から意外な数字まで結構つっ込んで聞かれます。お陰で日本にいるときよりも日本に詳しくなった気がします。(笑)
議論についていけない時はスカサズ違う話題を投げかけると結構食いついてくれるので(これも議論好きだから?)逃げ道に良く使いますよ。
by (2006-03-27 01:59)
Lahiriさん
こんにちは。いつもコメントありがとうございます。
数字にかんする質問はよくされました。
上でbizouxさんもおっしゃっているように日本についての質問はよくされましたね。
議論の輪にはいれるように少しはなったつもりですが、
「ああ、本当はこういいたいんだけどなあ…」と
いらいらすることも多かったですね。
by foret (2006-03-27 10:04)
bizouxさん
あいつら(今回はあえてこう書かせてもらいます)の
「どう、何か言い返せる?参った?はい、こっちの勝ちね」って感じの顔、むかつくんですよね。
まあ、みんながみんなそういうわけではないのだけれど、なんかもう意地と意地とのぶつかりあいみたいになることもあって、こっちは言いたいことの半分もいえなかったことがよくありました。
bizouxさんはもうフランスには長いんですか?
by foret (2006-03-27 10:08)
foret さん、すっごいよく分かりますよ、その気持ち!
私は田舎生活の方が中心なのでどちらかと言えばその被害は最小限ですが、まだまだ新参者でフランス語もかなりの下手糞と来ているので、パリは勿論、ランスやボルドーのスノッビーな「あやつら」はワザと英語でまくしてきます。(きーっ!)
フランス語ばっちりの異邦人にさえも「どう、私の英語、イケテルでしょ。ふふん。」といった感じで物凄く自己陶酔しているあの様子にはいつまでも慣れる事はできません。
如何に自分に非があろうと、絶対に謝らないでまくし立て、ふと気が付くと被害者が入れ替わるくらいの弁が立つような教育をしているとしか考えられません・・・と時折痛感します。(笑)
by (2006-04-02 18:09)
こんばんは、
foret さんとbizoux さんの掛け合いが面白・・じゃなくて
興味深かったので、思わず笑ってしまいました。
・・・・が、そのうち他人事じゃなくなるんでしょうね・・・
今まで、仕事でたくさんムカつくこともあったけど
違う次元で悔しい思いをいっぱいしそう・・・。
ま、とにもかくにもフラ語をがんばらないと・・・・ハァ・・・・
by (2006-04-03 23:38)